人生再起の記録

30代後半で仕事・お金・友達・人脈を失ったところからの再起の記録

30代後半で大企業からベンチャー企業に移ってみて感じたこと

新しい会社で働き始めてもうすぐ1ヶ月ほどが経つ。

僕は、これまで30代後半まで働きてきた人材業界とは異業種の医療ベンチャーで働いている。医療や介護という新たな世界のため、絶対的な業界の知識量が足らない。

いきなり完璧な知識量を持とうとは思わない。それでもそれなりに業界の知識がないと、社内や社外で全く話にならない。だから、毎日知識を詰め込んで身に付けようとしているけれど、僕は記憶力が悪い方だから、覚えた(つもり)と思っていても、抜けてしまう。こればっかりは、繰り返し覚えて定着させるしかないと思っているけれど。

 

僕は今、100人に満たない規模の医療ベンチャーで働いている。僕はこれまでずっと人数が数千人規模のいわゆる大企業で働いてきた。だから、この1ヶ月で大企業とベンチャー―企業の違いを感じる場面が多い。

大企業とベンチャー企業を表面的に比較したときに分かる、以下のようなことはもちろん感じている。

資本力

・組織力

・既存顧客の数

・社外ネットワーク

・ブランド

大企業で働いている時は、正直なところ上記のことをあまり意識したことがない。それでも今振り返ると、大企業が持つ資産によって楽に仕事をさせてもらっていた。そして、多くの仕事を「自分の力」でやれたと勘違いしたこともあったように思う。

その結果が、自分が思うほどに労働市場価値が高くないビジネスマンとなってしまった一つの要因かもしれない。大企業持っている多くの資産を活かした経験をしていれば、それはそれで大きな経験とスキルを身に付けられたかもしれない。今さら言っても仕方がないが。

 

そして、ベンチャー企業は、限られたお金(いや、正しくはほとんどないお金)と、限られた人的リソースと、あまりない社外ネットワークと、全くないブランド力の中で、ビジネスをしている。この2週間でこれからのことを感じる場面は毎日ある。

一方で、スピード感について、大企業とベンチャーでは違いがあるかなと思ったけれど、この点については、さほどの差を感じなかった。

ベンチャーの方が規模が小さい分だけ大企業よりも確かにスピード感はあるかもしれないけれど、それほどの違いは感じない。市場環境の変化の速さがどんどん加速しているから、大企業でもスピード感は自然と求められているからかもしれない。

 

大企業とベンチャー企業の違いで、最も強くインパクトを感じたのが、一人当たりの生産性の高さだ。ベンチャー企業は、人的リソースが限られているから必然的に生産性が高くなるとは思うけれど、とにかく大企業よりも生産性が高い。

何かをゼロから企画して実施する時に、大企業だとほぼ当たり前のように複数のメンバーとタスクを分け合うけれど、ベンチャーだとそんなことはしない(できない)。まるっと全て一人が担当することが多い。

もちろん、周囲のメンバーも手伝うけれど、それはタスク分けをしてやるというよりは、ちょっとした事務作業とか、明らかに瞬間的にマンパワーが必要な場面くらい。

「企画」とか、「マーケティング」とか、「営業」とか、「事務」といった職種で分けられたものはなくて、全部一人でやっている。唯一、開発など技術的な部分だけは、専任が担当するれけど、その他は一人が全体を担当する。

例えば、僕がこれから新サービスを企画して販売するときに、関わる人員は、2人。僕と技術職1名。 新サービスが軌道に乗れば、新たに人を採用することが交渉可能かもしれなけれど、基本的に一人。

 

僕は、苦戦した先の転職活動で、ベンチャーでは、一人で全てできる人を求めていることを知って、「そんなことできる人なんているのか?」と疑問に思うことが多かった。なぜなら、僕が働いてきた大企業では、一人で全てをやる機会なんてなかったし、一人でやることを求められもしなかった。僕は、一人で全てをできるそんな人は、フリーになったり、会社を自ら作る人なんだろうと思っていた。

しかし、現実にベンチャー企業には一人で全てができる人は存在したし、一人で全てができることを求められる。僕は、一人で全てをやったことはないけれど、ポンと大きな仕事をまるっと担当することになったから、一人で全てをやらざるを得ない。

 

なんだか一人で全てやっていると、孤独だなと思うかもしれない、だけど、別の人も同じよう一人でまるっと担当しているので、それぞれが孤独だからこそ、いろいろと情報交換も含めてコミュニケーションを取る機会が多い。少しでも共有したり協力できることがないかと、そして少しでもシェアできる業務はないかと、孤独だからこそ相談もし合う。

もしかして、フリーで働いていたり、自分で会社を経営している人も同じようなことをしているのかもしれない。

僕は、30代の後半まで自分が持ち合わせていない「一人で全てやる」という経験やスキルを見つける大きなチャンスの場にいるのかもしれない。