30代後半だけどドラゴンボールのヤムチャを決して笑えない
新しい職場の入社前健康診断を受けてきた。
受付や診察の合間などで待ち時間が多かったのだけど、待合室に「ドラゴンボール」のコミックが置いてあったので、1巻から久しぶりに読んでみた。
読み始めて間もなく、気になったのが「ヤムチャ」。
主人公の孫悟空がブルマと共にドラゴンボールの旅に出てすぐに出会い、そして仲間となったヤムチャ。だけど、その後のヤムチャは最初に戦い、そして最初に負けるか殺されてしまうという悲しいキャラとなってしまった。
ついには、以下のようなフィギアまで発売された。これは、敵に殺された時のヤムチャだ。僕はフィギアについて詳しくはないけれど、死んだ状態のフィギアなんてないんじゃないだろうか?
そんな、ヤムチャなのだが、実は彼には、ささやかな憧れた生活があったのを知っていただろうか?
僕はそのことをコミックを読んで知った。子供の頃に読んでいるはずだけど、当時は頭の片隅にも残っていなかった。
「はっきりいって オレは 結婚というものにあこがれている!!」※*1
そうだったのだ。ヤムチャは、結婚にあこがれていたのだ。
更には、ドラゴンボールで願いを叶えてもらうとしたら、こう言っている。
「よーし!!オレは女の前にいっても あがらないようにしてもらうぞー!!!!」※*2
そして、周囲が天下で一番になりたいという野心がある中でヤムチャは、こう言っている。
「オレは 天下にはきょうみがない」※*3
実は、ヤムチャは野心を持たず、結婚して家庭を築きたいという、家庭的な青年だったのだ。
ところが、その後、そんなヤムチャのささやかな憧れが実現されることはない。
意気投合したブルマとブルマの実家で暮らすことになる。喧嘩しながらも長く付き合い、結婚も意識するが、二人は別れる。その後、自らを殺したベジータとブルマの間に子供が生まれる。
人造人間と戦ったストーリーでは、物語の終盤で2つまで願い事を叶えるられるようにバージョンアップしたドラゴンボールを使って、1つ目の願いで人造人間に殺された人々を生き返す。しかし、2つ目の願い事が特になく、ヤムチャは、今付き合っている彼女が高級なネックレスを欲しがっているから、その願いでもいいかと仲間に尋ねる。やはりヤムチャは、ささやかな憧れを持っていたのかもしれない。
ちなみに、この願いは、別の願いに差し替えられ叶うことはなかった。
ドラゴンボールの最後のストーリーである魔人ブーとの戦いを終えて、5年ほど経った最終話。ドラゴンボールの初期からいたメンバーの状況は以下の通り。
孫悟空は、こちらも初期に出てきたチチと結婚し、その後二人の子供に恵まれる。長男の孫悟飯は結婚していて子供がいる。孫悟空は祖父となっていた。
ブルマは結婚はしていないが、ベジータとの間に二人の子供に恵まれる。
そして、唯一ヤムチャと同じように、女の子に興味がありながら結婚できなかったクリリンも、人造人間と結婚し、子供に恵まれる。
気がつけば、ドラゴンボール初期からいた人間の若者で、結婚していなかったり、新しい家族を持っていないのは、ヤムチャだけだった。
あれだけ、結婚というものに憧れていた青年は今も独身だった。
ドラゴンボールの最終話での年齢設定は、映画などの情報からブルマが45歳くらいという。ヤムチャはブルマより少し年齢が上だと仮定すると50歳手間だ。
50歳に近い年齢で、ヤムチャはささやかに憧れていた結婚生活を手にすることができずにいる。
いつも敵に最初に負けたり、殺されてしまうヤムチャだけど、僕は決してヤムチャを笑うことはできない。青年の頃から持つ決して大きすぐないささやかな憧れを、手にすることができないヤムチャに自分を重ねて考えてみる。
僕も、自分の人生について、それほど何か大きなものを望んでいるわけではない。僕にも仕事に限らずプレイベードでの夢や希望はある。けれどそれは、これまでも今も多くの人が成し遂げてきたことで、実現が不可能なことではないと思っている。
だけど、ヤムチャが青年の頃からささやかに憧れていた結婚を50歳にして実現できていないことを考えると、望んでいるものには、「具体的にいつまでに」という期限を設けた方が良さそうだと改めて気づかされた。実際、僕の望んでいることも「いつかは」と期限がアバウトな設定になっていることも多い。早急に期限設定してみようと思う。