一番じゃなきゃダメなのか?二番じゃダメか?
もう何年も前に、「世界で一番じゃなきゃダメですか?二番じゃダメなんですか?」という発言が世を賑わした。
スーパーコンピューターの開発費をめぐっての国会議員の発言でした。
この時、僕はこの発言を聞いて、面白い発言だと思いました。
2つのことについて考えさせられる発言だったから。
■ 一番であることの重要性について
■ 一番を目指すという目線を高くもつ重要性について
一つ目の、一番であることの重要性について。
スーパーコンピューターの領域のことは詳しくわからないけれど、どうやら一番「速く」ないと意味がないものらしい。
そういう意味で、スーパーコンピューターについては、「世界で一番でなきゃダメ」なんだと思う。世界で一番の処理能力が必要。二番の処理能力じゃダメ。
また、医療や化学などの基礎研究の分野では、「世界で一番でなければならないかもしれない」。この場合は一番「早く」開発しなければいけない。
世界で一番最初に見つけることが必要。世界で二番目に見つけてはダメ。
スーパーコンピューターにしろ、医療や化学などの基礎研究にしろ、「速く」「早く」と時間的に一番じゃなきゃダメ。意味がない。そういうものが世界にはある。
僕はこのような世界にいたことはないけれど、以前にiPS細胞に関する書籍を読んで、いかに「最初」であることの重要性は素人ながらも感じました。
次に2つ目の、一番を目指すという目線を高く持つ重要性について。
「世界で一番じゃなきゃダメなんですか?二番じゃダメなんですか?」議論の時に、こんな指摘もあった。
「最初から二番を目指していたら、二番はおろか三番だって四番にだってなれない。それくらい勝負の世界は厳しんだ」と。
確かに、この意見には僕もおおむね賛成です。
僕は陸上競技をやっていた時、大会で一位を目指していて、その結果一位になれたこともあるけれど、二位や三位の結果になったことも多々ある。一位を目指してからこの結果だけど、二位を目指していたら表彰台どころか、入賞も怪しいかったと思う。
そして、そもそも二位を目指して取り組むことは難しいと思う。二位を目指すシチュエーションもうまく思い浮かばない。
一位を目指したり意識することで、今よりも練習自体に更に力を入れたり、はたまた新しいアイデアを考えて練習メニューを工夫したりすんじゃないかと思う。
これは、スポーツに限った話ではなく、ビジネスの場でも同じだと思う。
僕はこれまでいくつかの会社で常に自分が関わるサービスは業界一位を目指してやってきていた。その結果、業界一位になれたこともあるし、なれていないものもある。
だけど常に、一位になるために新しいサービスを考えたり、販売手法を工夫したり、一位になるために足らないものを生み出していった。
ちなみにだけど、経験上、個人的には二位のポジションが結構好きです。
確かに一位になれるとすごく嬉しい。ビジネスでいうとリーダーになるわけだから、利益ということでも一位は稼げるようになる(はず)。
だけど、一位は前に誰もいないから、一位を維持するのは結構大変。それに比べて二位は、目指すものが前にいるので、一位を意識して改善すればよい。
過去に僕が関わって業界一位になれたサービスは、業界一位になると同時に業界代表となるので、業界全体を背負うことも多く、何かと大変でした。
世間の風を代表して受ける場合も多々ありました。一方、同じく僕が関わった別のサービスで業界二位だとそのような大変さはありませんでした。
一位はまるで、マラソンや自転車競技のトップを走るのと似ています。風を真正面から受けて走らなければならない。
だけど二位だと一位が受けてくれる風の後ろで、様子を伺いながら走れる。
そして、様子を冷静に見ながら一位に仕掛ける。
とは言え、一番を目指さないと二番もないし、三番にだってなれないと思う。だから、一番を目指すことはとても重要なことだと思っています。
では、「それじゃあ、自分は今、何か一番になろうとしているか?」ということを自分自身に問いかけてみる。
国の取り組みについては「いや、一番目指さないと一番にはなれないし、そもそも二番も三番にだってなれないよ」と言っておきながら、自分はどうなんだと。
正直なところ、一番を目指しているものはないかもしれない。
仕事でもプライベートでも。
もちろん、決して向上心がないわけではない。
今の自分よりも少しずつでも成長させていくことは意識しているつもりです。
だけど、確かに学生の頃は大会で一位を、社会人になった頃は同期の中で営業成績で一位を、と何かと一位を目指していた。
だけど、いつしか一番であるよりも、以前の自分との比較を意識するようになった。一番を意識しなくなったわけではないけれど、あくまで自分を成長させて、その結果一番になれたらいいなといった感じだ。
これでは、ずっと一番にはなれないし、二番や三番といった上位にも入れない。
一番を目指すという目線を高く持つ重要性について、同意しておきながら、さらには過去に実体験としてありながら、今は一番を目指していない。
過去にできていたことが、今できなくなっている。
しかも、これは体力的や気力の問題ではないだろう。
もう一度、何かの一番を目指そう。