人生再起の記録

30代後半で仕事・お金・友達・人脈を失ったところからの再起の記録

31歳で胃がんになったBS国際報道キャスター黒木奈々さんの書籍を読んで

BS放送が開始された1980年代後半。

NHKのBSで「きょうの世界」という国際報道番組が放送されてました。
当時、小学生だった僕は、この番組を通じて初めて世界の広さを感じたことを覚えています。小学生の僕には内容が難しい話題もあったけれど、世界にいろんなニュース番組があって、とてもワクワクしながら番組を観ていました。それからその後の「ワールドWaveトゥナイト」、そして「国際報道」と番組名は変わった後も観ています。

「ワールドWaveトゥナイト」時代から番組のキャスターを務めていた黒木奈々さんが、2014年8月に番組を休み、胃がんの治療のため休養というニュースが出た時は、かなり驚きました。31歳の若さで胃がんになったという事実に。

黒木奈々さんは、がん治療のため番組を休養してからは、手術と治療の闘病生活を経て、2015年1月4日に挨拶で番組復帰しました。そして、2015年4月から毎週月曜の番組だけを担当してレギュラー復帰しています。投薬による治療を続けながらの復帰です。僕は単なる視聴者ですが、黒木奈々さんが、無理せず慎重に、そして徐々にまた活動の幅を広げられるようになることを願ってます。

さて、黒木奈々さんが、胃の不調を訴えてから10日ほどの短期入院をして検査、その後の胃がんの告知、番組休養、手術、闘病生活、さらに番組復帰についてを黒木奈々さんのキャスターへの道のりを紹介しながら書かれたのが「未来のことは未来の私にまかせよう 31歳で胃がんになったニュースキャスター」という本です。

早くからキャスターを志望していた黒木奈々さんは、新卒ではキャスターになることができずに、記者としてキャリアをスタートさせます。だけど、キャスターを諦めらずに記者を辞め、フリーアナウンサーとしての道を選びます。そして、ようやく掴んだNHKの国際報道キャスターという仕事。

キャスターとしてのキャリアをスタートさせてところでの胃がんはショックという言葉では片付けれなかったでしょう。

この本は、30代の女性ががんに立ち向かう心情、手術、投薬による闘病生活、家族や周囲のサポートなど、いわゆるがん治療に関する闘病記録として参考になるだけでなく、がんになって考える仕事感、そして結婚や出産についてなど、仕事をする30代の独身女性が持つ将来への不安や希望についても素直に書かれていて、男の僕が読んでも参考になることが多かったです。

また、昨年の8月から今現在に続く闘病生活についての本のため、ごく最近の話としてリアリティさがあり、昨年の同時期の自分と照らし合わせながら読むと、考えさせられるものがあります。

例えば、黒木奈々さんががん告知を受け、手術、闘病生活に入った9月頃、僕は会社でまさかのパワハラを受けるという、自分が被害を受けるなんて思いもしなかった出来事に遭遇しました。相当なパワハラで、僕は入社した会社を3ヶ月ほどで退職せざるを得なくなりました。振り返ってみても、やはりそれなりに苦しい思いをしました。

その一方で同じ頃、まさかのがんで仕事を休み、思わぬできごとと苦しい思いをしながら闘う人がいたことに、なんだかほっとさせられました。あの僕がパワハラで苦しんでいた瞬間は、決して自分だけが苦しんでいたわけではないということに。 

 

この本を読んで、最も考えさせられたことは、ありきたりですが、健康であることがいかに大切かということです。今の僕は、30代後半で仕事やお金や友達や人脈を失っています。だけど、体は健康です。持病もない。いろいろ失っているかもしれないけれど、健康という何をするにも全てのベースになるものは、失っていないことを強く意識させられました。何かをするに自分の体に制約があるわけではない。体について気にしなければならないこともない。何だってできる。健康であることは、僕には当たり前すぎて、この本を読まなければ全く意識しなかったです。

 

ところで、この本を読んで、一つのことが気になりました。
がんの発生率についてです。どのくらいなのでしょうか?
調べてみたところ、以下の通りでした。

■男性がx年後までにがん発生する確率 

現在の年齢 10年後 20年後 30年後 40年後 50年後 60年後 70年後 80年後 生涯
0歳 0.1% 0.2% 0.5% 0.9% 2% 8% 20% 40% 60%
10歳 0.1% 0.3% 0.8% 2% 7% 20% 40%   60%
20歳 0.2% 0.7% 2% 7% 20% 40%     60%
30歳 0.5% 2% 7% 20% 40%       61%
40歳 2% 7% 20% 40%         61%
50歳 5% 19% 40%           61%
60歳 15% 37%             61%
70歳 28%               58%
80歳                 52%


■女性x年後までにがん発生する確率

現在の年齢 10年後 20年後 30年後 40年後 50年後 60年後 70年後 80年後 生涯
0歳 0.1% 0.2% 0.6% 2% 5% 10% 18% 28% 45%
10歳 0.1% 0.5% 2% 5% 10% 18% 28%   45%
20歳 0.4% 2% 5% 10% 18% 27%     45%
30歳 1% 5% 10% 17% 27%       45%
40歳 3% 9% 16% 26%         44%
50歳 6% 13% 24%           43%
60歳 8% 20%             40%
70歳 13%               35%
80歳                 28%

*1

 30歳が10年後までにがんになる確率は、男性が200人に1人、女性が100に1人です。女性特有のがんがあるだけ女性の方が確率が高くなっています。いずれにしても、男女共に僕が想像していたよりも確率が高かったです。500人に1人くらいの確率かと思っていました。

そして、生涯においてがんになる確率は、男性と女性に差はありますが、おおよそ2人に1人です。2人に1人ががんになるということは、以前から知っていましたが、改めて「がんの国」だなと数字を見て思いました。 

もしかしたら、がんは生涯においては避けられないかもしれません。だけど、できるだけ後ろ倒ししたいところです。

そのためには、まずは食生活の改善でしょうか?
だけど、2人に1人ががんになるということは、日本のごく普通の食生活をしていても、がんになるということででしょうか?そう考えると、なかなか改善といっても難しいですね。

とはいえ、せっかくの機会なので、食生活を見直してみようと思います。

*1:国立がん研究センターがん情報サービス