人生再起の記録

30代後半で仕事・お金・友達・人脈を失ったところからの再起の記録

新橋で見る景気の良さに居心地の悪さを感じた2015年

ゴールデンウィーク明けの週末の金曜日。

新しく働き始めた会社の同僚と軽く飲んで帰った。

「軽く飲む」は、文字通りで、それぞれ2杯くらいとつまみ程度のサクッと飲み。

僕がこれまでに働いていた会社では、頻繁に飲むことが多く、そして「軽く飲む」といっても、たいていはロングランになることが多かった。

「軽く飲まない?」はあくまで誘い文句で、軽く収まった試しがなかった。

だけど、新しく働きはじめた会社では「軽く飲む」は、本当にそのままの意味で、なかな新鮮だった。僕は、アルコールは好きだけど、あまり強くないので、文字通りの「軽く飲む」はむしろ大歓迎だ。

 

職場から少し歩くのだけど、新橋で飲むことにした。

新橋に行くのは、10年ぶりくらい。

新橋という街は、新橋やその周辺に職場があったり、仕事での用事がない限り新橋にわざわざ出向くことはないだろう。

僕は、大学卒業後に就職した会社が新橋に隣接する銀座にあった。2000年代前半の頃の話だ。当時は、よく会社帰りに新橋で飲むことが多かった。だけど、その会社を辞めてからは新橋に行くことはなくなった。

 

10年ぶりに訪れた新橋はどうだったか?

1つ目は、店の顔ぶれの変化を感じた。

ターゲットが20代、30代向けのバーなどが増えていた。

もちろん今も、いわゆる赤ちょうちん系の店が多い街であることには変わりはないけれど、確実にちょっとオシャレな店(あくまで「ちょっとオシャレ」であって、すごくオシャレではないところがポイント)が増えた。だから新橋という雑多な街だけど、若い女性も多く見られた。

新橋周辺にある汐留エリアや再開発中の虎ノ門エリアで働く人が増えてきたということも、店の顔ぶれの変化に影響しているのかもしれない。

 

2つ目は、いかがわしい系の店が増えた(または、客引きが増えた)という印象。

10年前のその手の店はあったとは思うけれど、10年前よりも増えた印象で客引きも増えた。客引きは、10年前はあまり見かけなかったように思う。だけど、10年ぶりに歩いた新橋では、場所によっては、10歩ごとに客引きに声を掛けられた。

だけど、このことは、もう少し冷静な分析が必要だ。もしかしたら、新橋には10年前も今も同じくくらい、いかがわしい店はあって客引きもいたけれど、20代の僕は客引きに声を掛けられなかっただけかもしれない。30代後半となって、声を掛けられることが増えたのかもしれない。

 

3つ目は、新橋が賑わいすぎだと感じた。

僕の知っている2000年代前半の新橋はこうだった。

金曜日でも、店によってはガラガラで、新橋で入れる店が見つからないということは、まずなかった。

特に新橋駅から少し離れれば、たいてい空席のある店は見つかった。新橋の隣にある銀座では、金曜日だと店の予約しておかないとどこにも入れなかったけれど、新橋ではそんなことはなかった。だから、会社の同僚や上司とふらっと新橋に飲みに行くことが多かった。

僕は2000年前半に社会人になって、サラリーマンの聖地と言われる新橋を始めた訪れた時に、想像していたよりもずっと閑散とした街だったことに、がっかりしたことをよく覚えている。そして、その閑散さは、景気が悪いことに起因していることを知って、日本が景気が悪いということを、就職活動以来、肌で感じたこともよく覚えている。

だけど、僕はこの閑散とした雰囲気が新橋だという印象をずっと持っていた。僕が新橋に行かなくなった2005年くらいまではずっと閑散とした雰囲気だった。

 

しかし、今はどうだろう?

どの店も満席で、僕と同僚は、入れる店を探して放浪しなくてはならなかった。

10年前には、給料日あとの週末や、各季節の飲み会シーズンの時期でも確実に入れた新橋駅から少し離れたいくつかの店でさえ、全て満席だった。しかも、21時半を過ぎていて、決してピークの時間帯ではなかったのに。

僕と同僚はなんとか、偶然に僕が10年前にも良く行っていた焼き鳥の店に、空席を見つけることができた。この店にも僕らが入った後に、店に入ってきた人たちは満席だと告げられて、店を後にすることが何度もあった。

 

僕は店主らしき人に、新橋に賑わいについて、いくつかの質問をしてみた。

店主らしき人によると、やはりここ2年くらいで客の数が増えたらしい。それは、新橋周辺に勤める人が増えたというよりは、財布の紐を緩めるようになったからのようだ。というのも、客の滞在時間が増えて、単価が上がったから。3年くらい前までは、僕や同僚のように、軽く飲む客が多かった。だけど、ここ数年で滞在時間が増えて、回転率は減ったけれど、単価が上がったらしい。

 

新橋は、景気のバロメーターだという。

この賑わいは、日本の景気が良くなっているということか。

それはもちろん、嬉しいことだ。

閑散として暗く沈んだ街よりも、賑わって明るい街の方が魅力的だ。

しかし、僕は新橋という街は、いつも店の数が多い割に閑散としている印象で、哀愁がありつつもたくましさを感じるところが、好きだったりした。だから、景気の良さで賑わう新橋に、なんだか居心地を悪さを感じた。

 

今回、行った焼き鳥の店は、以下。

10年前と変わらずおいしい店。そこにはほっとした。

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