映画「イミテーション・ゲーム」から才能の生かし方を考える
映画「イミテーション・ゲーム」を観てきました。
この映画は、第二次世界大戦のドイツ軍の暗号「エニグマ」を解読した天才数学者「アラン・チューリング」の人生を題材としています。
イギリス・アメリカを中心とした連合国軍は「エニグマ」を解読できずに、各地でドイツ軍に敗れていました。
このエニグマをアラン・チューリングが中心としたチームが解読したことにより、第二次世界大戦の終結が2年早まり、約1400万人ほどの命が助かったと言われています。
それほど、エニグマを解読したアラン・チューリングの功績は大きい。
しかも、アラン・チューリングがエニグマ解読のために開発した計算機は、今日のコンピューターの原型であり、その意味でも私たちの今の生活にも大きな影響を与えています。
主演は、ベネディクト・カンバーバッチ。ヒロインはキーラ・ナイトレイです。
この映画は、アラン・チューリングや当時の時代背景について詳しくなくても理解できるように説明がある構成になっているので、誰でも楽しめます。
第二次世界大戦の裏側でこんなことが起こっていたのか、という新しい発見があっておすすめです。
映画のストーリーの詳細や感想を書くと、ネタバレになってしまうので控えますが、僕が映画を通して「才能の生かし方」について感じたことを紹介します。
上司が無知だと天才でも力が発揮できない
アラン・チューリングの暗号解読は「ブレッチリー・パーク」という暗号解読のための政府暗号学校にて行われます。
政府暗号学校は軍の幹部が率いているのですが、アラン・チューリングの上司は海軍の中佐で、暗号解読については無知でした。
無知であっても、部下たちから暗号解読について、学ぶ姿勢があればよかったのですが、無知のまま、マネージメントをしようとします。
上司は、アラン・チューリングが取り組もうとしていた暗号解読のための計算機の開発について「機械なんかで解読できない」と否定的でした。アラン・チューリングがなんとか別ルートで交渉して開発に至った後も、暗号解読の結果がなかなか出ないことで、一方的に機械を止めさせ、アラン・チューリングをクビにしようとします。
上司は、完全に部下の足を引っ張っていました。
これは、今の企業の中でもある話だなと思います。
僕が知っている中にも上司の無知で、才能を発揮できずにいた人が何人もいました。
上司が無知のままマネージメントしたら、例え部下が天才であったとしても、その力を発揮できないこともあるということです。
凡人だと尚更そうかもしれません。
天才も一人では仕事ができない
アラン・チューリングは数学の天才でした。ただ、だいぶ変わった性格で、同じように暗号解読に取り組む同僚とうまくいきません。それはコミュニケーション上の問題だったりするのですが、アラン・チューリングは一匹狼で動き、自分一人で機械を設計し、自分一人で機械を作ろうとします。
ますます溝は深まります。
そんな時に、ある女性が加わることで変わります。
彼女は、「同僚には決して嫌われてはいけない」と同僚とコミュケーションを積極的にとり、同僚とよい雰囲気を作ろうとします。
ついには、同僚はアラン・チューリングに協力するようになり、アラン・チューリングも同僚とコミュケーションを取るようになります。その結果、暗号解読の計算機を作り上げることができます。
天才であっても一人でできるごとには限界があり、周囲が協力することで、その天才の力が発揮できるし、天才の力を更に強めることができるということです。
凡人なら尚更そうかもしれません。
アラン・チューリングは、世界に大きな貢献をしながらも、国から犯罪者として扱われるなど不遇な扱いを受け、わずか41歳でこの世を去ります。
イギリス政府が過去の扱いを謝罪したのは2009年です。
2013年になってエリザベス女王より死後恩赦を受けています。
(死後に恩赦を受けてもどうなんだと思いますが、このあたりはイギリスらしい)